赤げふの数学

数学・物理・微分の高校生 赤げふのBLOG

メビウス変換の微分作用素表示

こんにちは~(*`・ω・´*)ノ 無自覚にも、もう高3になってしまいました。数式blog始めたのは中3からで、自分で発見した数学を載せ続けられているのは嬉しいです。

関数へのPSL_{2}作用(メビウス変換)について話します。

[定理]

fを無限回微分可能な関数、\partial=\frac{d}{dx}、ad-bc=1、d\neq 0とする。このとき \begin{align}e^{-cd^{-1}(x^2 \partial+λx)}d^{-2x\partial +λ}e^{bd^{-1} \partial}・f(x)=(cx+d)^{λ} f\left(\dfrac{ax+b}{cx+d}\right)\end{align}

 

証明

[補題1]並進変換 e^{a \frac{d}{dx}}・f(x)=f(x+a)

証明:http://akaghef.hateblo.jp/entry/2017/11/10/192508

オワリ

 

[補題2]\begin{align}\exp (f'(x)+\partial) =\exp(f(x+1)-f(x))\exp \partial\end{align} 証明:線形代数固有値の話を思い出すと良い。

任意のk∈ℂについて関数\exp(kx-f(x))上記の作用素固有値e^{k}の固有関数であり、線形独立なので関数全体を張る基底となる。実際

\begin{align}(f'(x)+\partial)・exp(kx-f(x))\\
&=(f'(x)+(k-f'(x))\exp (kx-f(x))\\
&=k\exp (kx-f(x))\end{align}

であるからf'(x)+\partial固有値kの関数なので(左辺)の固有値e^{k}

一方[補題1]より

\begin{align}(右辺)・\exp (kx-f(x))\\
&=\exp (f(x+1)-f(x)) \exp(kx+k-f(x+1))\\
&=e^{k}\exp (kx-f(x))\end{align}

なので固有値e^{k}です。

固有値と固有関数の一致が取れたので作用素は等しいです。 オワリ

 

補題2は割と有能ですが全く見かけないのなんででしょうね(BCH公式の系でもあります)

微分作用素は合成関数の公式で変数変換をすることができます:

\dfrac{d}{dx^{-1}}=-x^{2}\dfrac{d}{dx}

\dfrac{d}{d\log x}=x\dfrac{d}{dx}

です。 ここまで来ればスムーズに定理を証明できます。

z=\dfrac{d}{cx}として

\begin{align}&\exp -cd^{-1}(x^2 \partial+λx)\exp(-\log (d) (2x\partial -λ))\exp(bd^{-1} \partial)・f(x)\\
&=d^λ\exp -cd^{-1}(x^2 \partial+λx)\exp(-2\log (d) \dfrac{\partial}{\partial \log x} )・f(\exp (\log x)+bd^{-1})(補 題1)\\
&=d^λ \exp -cd^{-1}(x^2 \partial+λx)・f(\exp (\log x -2\log d)+bd^{-1})(補 題1)\\
&=d^{λ}\exp \left(\dfrac{\partial}{\partial z}+λz^{-1}\right)・f(d^{-2}x+bd^{-1} )\\
&=d^{λ}\exp (λ\log (z+1)-λ\log z)\exp\left(cd^{-1}\frac{\partial}{\partial x^{-1}}\right) ・f\left(\dfrac{1}{d^2}\dfrac{1}{x^{-1}}+\frac{b}{d}\right)( 補 題2)\\
&=d^{λ}\left(\dfrac{z+1}{z}\right)^{λ}f\left(\dfrac{1}{d}\left(\dfrac{x(1+bc)+bd}{cx+d}\right) \right)\\
&=(cx+d)^{λ} f\left(\dfrac{ax+b}{cx+d}\right)\end{align}

最後はad-bc=1を用いました。

オワリ

メビウス変換はPSL₂行列と同型な構造を持ちます:

2次行列M=(a,b;c,d)について作用素Aを

\begin{align}A_λ(M)・f(x)=(cx+d)^{λ} f\left(\dfrac{ax+b}{cx+d}\right)\end{align}

と定義すると、行列がM_1M_2 =M_3のとき作用素の合成として \begin{align}A_λ(M_1)A_λ(M_2)=A_λ(M_3)\end{align}

と成立します(暇つぶしに証明できると思います)

またA_λ(1,0;0,1)=1も成立。 定理は次と同様の形をしている事が見て取れると思います。 https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/4d403484a19b08a14eb693cb9f93606ca5fa7239

 

これはリー群の話を学ぶと理解出来て、行列のUDL分解(上下三角と対角の分解)を表しています。そしてなぜ行列が作用素と対応するかと言うと

E=-x^2∂+λx,F=∂,H=2x∂-λ

リー環sl_2構造を成し、交換子積[A,B]=AB-BAについて

関係式[E,F] =H,[H,E]=2E,[F,H] =2Fを満たしますが、

E=(0,1;0,0),F=(0,0;1,0),H=(-1,0;0,1)

と定義しても同様の関係式を満たすからなのです。

このsl2の微分作用素表現はλ=0のとき射影平面の正則ベクトル場を貼り、

メビウス変換の生成子になっています。

今回はexpでリー環からリー群に具体的に対応させた公式になっています。

局所的な感じで、こんな公式もあります。

 

またPSL_2 ℤ固有関数についてみると保型形式が出現します。

akaghef.hateblo.jp

今回は1変数で証明しましたが、行列変数の公式に書き換えると

Siegel保型形式も今回と同様な形で書き表せます。

 

どうだったでしょうか〜? 公式は自分で発見しましたが、

微分形式の意味づけが出来るとしってもっと学びたいなと思いました。結果的に理解につながったので良いですが、数学はあまり具体的な計算に興味ないんですかね?

最初の方はわかりやすくしたつもりなので、分かって頂けたら幸いです(*’ω’*)

では(。・ω・)ノ゙